あるライブのチラシのイラストを見て春田さんのことを知りました。いい絵だなと思っていたら、次に見た春田さんの絵が全然違う人のような作品でびっくりしてしまいました。私カマクラくんも小さい頃から絵を描くのが好きだった、ということもあり、春田さんの話をいろいろと聞きたくなりました。
目次
- 発色がいい!
- エクストリーム
- 小学校
- 絵を見る
- 青春
取材後に春田さんが描いてくれたイラスト
※9月8日(火) 渋谷某所、三軒茶屋デニーズでお話をお伺いしました。
1. 発色がいい!
カマクラ:小さい頃に絵を描いた思い出とか聞きたいです。
春田:そうですね、一番古い、なんか絵を描いたなという記憶は幼稚園ぐらいだと思うんですけど・・・。生まれは大阪で中一まで大阪にいたんですけど、
カマクラ:はい。
春田:それで大阪時代、幼稚園行ってた頃に、自宅の畳とか敷いてある和室の部屋で、低いちゃぶ台みたいのが置いてあるんですよ。そのちゃぶ台の下に体を滑り込ませて、潜り込むとコーティングされていない板が目の前にあるわけです。
カマクラ:ちゃぶ台の裏ってことですよね。
春田:ちゃぶ台の裏を見てて、あ、なんにも描いてない所があるぞ、って思って・・・なんだろう、どういう動きでそうなったかわからないんですけど。落書きとかは、お母さんから紙もらったりとかしてB5とかの紙に描いてたんだけど、自分がいつも描いてるサイズ・・・よりもはるかに大きな、自分の体くらいの大きさの板が・・・。
カマクラ:・・・。
春田:ムズムズして、そこにマジックで落書きをギューっと、寝そべって描いて。それが楽しかったのをよく覚えています。
カマクラ:へ〜。
春田:普通の話ですね。子供の頃ってイタズラ描きして怒られるじゃないですか。今仕事で絵を描く人に限らず子供の頃の体験としてよくあるかなと。
カマクラ:みんなやって怒られてると思います。
春田:とにかく今まで描いたことがない大きさ。壁とか・・・あ、だんだん思い出してきました。普通に壁とかに描いちゃうと、すぐ母親に見つかって怒られたりとかして。こんなところに描くんじゃないよって。でも大きいスペースに描きたいという欲望はどうもあったらしく、それでちゃぶ台の裏にこっそり隠れて描いた。
カマクラ:見えないですもんね。
春田:そうそう、実際しばらく気づかれなかった。あと絵を描くとき普通は自分が上で紙が下だけど、寝そべってるから上下逆さで、逆さでも描ける!宇宙みたい!とか、不思議を発見して、その時一人だった。という記憶。絵の話、割と子供時代の話になっちゃいますけど。
カマクラ:あ、聞きたいです。どんなどんな・・・。
春田:・・・えーと、大阪時代家自体がこう、金持ちじゃなくて、だからといって雨漏りしてるとかそこまで貧乏でもないんですけど、なんでもかんでも買ってもらえる家ではなくて。1977年生まれなんで、自分がちょうど小学校上がったぐらいが、アニメとかメチャやってて、テレビつけると。70年代とか60年代とかのアニメの再放送とか。
カマクラ:どんなアニメやってたんですか?
春田:巨人の星とか。黄金バットとか。ガンダムもうる星やつらも。とにかくいっぱい。リアルタイムで80年代アニメとかも毎日朝から晩までバンバンやってて。そういうアニメもあるし、漫画もちょうどジャンプが黄金期と呼ばれていた時代で、ドラゴンボールとか北斗の拳とか、普通に連載で読めるんですよ。
カマクラ:へ〜。
春田:アニメと漫画でうわ〜ってなって、そうなってくると見た絵とかまねして描いたりとかしたくなって、描きたいんですけど、学校のノート以外基本買ってもらえないんですよ。ほら、スケッチブックだよ画用紙だよ、みたいな感じじゃなくて、とりあえずあるものでやって、みたいな感じで。
カマクラ:はい。
春田:新聞とってるから、それにいつも広告が入ってるんですよ。チラシが。スーパーのチラシとか不動産のチラシとか。そういうのがごっそり入ってきて、探すと裏が何にも描いてないやつがあって。それをせっせと集めて、なんか自分なりの”何をしてもいい紙”みたいなのをためるわけです。それしかないから。
カマクラ:・・・。
春田:たまにうまいこといくと、自由帳とか買ってもらえたりするんですけど。それは特例で、基本そういうチラシの裏とかに。今言わない・・・いや言いますけどチラ裏ですね。
カマクラ:チラ裏・・・。チラシを見て、両面印刷だとガッカリするっていう感じですか?
春田:そうそれそれ。
カマクラ:僕もそうでした。
春田:ですよね、何だよこれっ!て。私、今回たぶん小学生時代に話が集約されちゃうかもしれないですけど、自分の基本的なものが小学生時代に形成されちゃってるので。その、めっちゃディティールの話ですけど、チラシをためて、そのチラシの紙の素材もいろいろあって。
カマクラ:そうですよね。
春田:さらっとしてるのと、ツルッツルのやつが・・・!
カマクラ:どっちが好きでした?
春田:さらっとしたやつがベストなんですけど。
カマクラ:ツルッツルのやつ、描きにくくないですか?
春田:そう、子供だから基本描くときに鉛筆で、ツルッツルのやつは芯のコナが引っかからないから描けなくて。さらさらのやつに鉛筆で描くっていうのを楽しんでいたんですけど、私がそうやって絵をわさわさ勝手に描いてるのを母親が発見して、たまに水性ペンとか買ってくれるようになって。カラーの。
カマクラ:あ〜、サインペンみたいなやつ。
春田:その水性ペンだと、さらさらのやつより、ツルッツルのやつのほうが・・・。
カマクラ:よく描けるんですか?
春田:・・・発色がいいんですよ。
カマクラ:はっしょく・・・、ははは。
春田:ははは・・・。
カマクラ:よく描けるというより、発色がいいんですね。
春田:違うな、と思って。染み込まないわ、コレ・・・。
カマクラ:ははは・・・!なんか目覚めですね。
春田:ははは・・・。そう、画材への。そういうことに興奮するっていうか、それだけですよ。
カマクラ:それは幸せですね・・・!
春田:いろいろ試してる時に何か発見する瞬間がものすごく楽しくて。あと、さらさらの紙だとだいたい紙が黄色とかピンクとかカラーで、ツルッツルのは白が多いんですよ。
カマクラ:ツルッツルはほぼ白だったような気がします。
春田:だから、やっぱり白い所にね。美しいわけです。
2. エクストリーム
春田:小学生男子は、エクストリームじゃないですか。
カマクラ:いや、わからないです。全然(笑)。
春田:ははは・・・。そうですね、大阪に住んでて家のそばに住んでる友達、一緒に集団登校する子たちがほとんど男の子ばっかりだったんです。兄弟も、弟がいるんですけど、一番よく遊んでいた隣の家の子も男の子兄弟で、周りに男の子が多かったんですよ。
カマクラ:ふんふん。
春田:で、家近いから遊ぶとか、それぐらいの理由で遊ぶじゃないですか。
カマクラ:そうですね。
春田:それで、男の子文化の方が普通っていうか、逆に小学校あがって、女の子がスカートとか履いてたり、小綺麗にしてるのを見てビックリするみたいな。なんかお姫様みたいな子がいるぞ、と思って。自分がそうじゃないことにコンプレックスを感じたり。基本男の子と遊んでました。テレビアニメも・・・。
カマクラ:ドラゴンボールとかおっしゃってましたもんね。
春田;そうそう、ドラゴンボールとか北斗の拳とか、キン肉マンとか。その時、少年漫画、少女漫画の区別もわかってないんですけど、だいたい少年漫画っぽいものばかり摂取してました。
カマクラ:そうなんですね。へ〜・・・。
春田:なんでしょう、住んでた地域が、工業地帯っぽいところっていうか。大阪の中心部から見て北のほう、淀川渡って向こう側で。家の近所に小さい町工場とか、住宅地に隣接してポコポコいっぱいあるみたいな所で、歩いているとなんか、工場の外に謎の鉄クズの山が背よりも高く積み上がってたりとか。子供だからそういうの手にとっては興味津々で、そういうのもあって結構家の近所で遊んだりとかする中で・・・。
カマクラ:はい。
春田:近所の男の子とワケのわからない遊びをよくしてた・・・。で、カマクラくんとお話するのでエクストリームな話をしたいなと思って。この話なんとなくした方がいいかなと思って。わかんないですけど・・・。
カマクラ:ぜひぜひ。
春田:家の近所に住んでる、ホッタ君って男の子がいて。ホッタ君ちの外に、ある日急にタンスとか机とか家具が並べられ始めて”何、引越しするの?”って聞いたら、”うんうん、俺んち建て替えんだよ”って言って。
カマクラ:建て替える・・・。
春田;”そうなんだ、いいね”とか言ってて。その荷物を運び終えたらしく、ホッタ家の旧邸はまだ建ってるんですけどすっからかんで、ホッタ君がそこに自分の友達を集めだして。急に。
カマクラ:え〜!
春田:空き家に。私も近所に住んでたから、来る?とか言われて。
カマクラ:誘われた!
春田:そうそう。これは何か始まるなと思って、血が騒ぎましたね。そしたら”俺んち、どうせ壊すからさ、みんなで先に壊そうぜ”って。
カマクラ:マジっすか〜。ヤバイなそいつ。ふふふ・・・。
春田:ははは・・・。
カマクラ:合理主義っていうか。理にかなってます。
春田:かなってるでしょ。ホントだ、と思って。
カマクラ:それでホントだって思って、春田さんも壊しに・・・行ったんですか?
春田:行った。
カマクラ:ははは・・・!
春田:そうなると皆、手に手に各々の破壊道具を・・・。ははは。
カマクラ;ははは・・・!正直っすね。
春田:私も父親が職人さんだったんで、家に大工道具みたいな、丸ノコとかドリルとか工具すごいあって、で、トンカチを片手に持って。軽くニヤっとした小学生たちが空き家へ・・・。たぶん、生活たいへんだったり家庭の事情いろいろある子だったりエクストリームな環境の子が普通によくいて。まわりの大人も、近所の悪ガキの動向はチェックして面倒みてたので、危ないこと見つかると怒られちゃうんで、まあ大人の目を盗みつつこっそり。トレーナーの下に隠したりして。
カマクラ:ホッタ君の旧邸へ。
春田:何食わぬ顔で。それで、子供なりの物理的な考え方っていうか、一階から先に壊すと上が落ちてきちゃうから、まず二階を壊そうということになって。
カマクラ;マジで壊す気だ。
春田:それで男子がやるぞ〜って。二階は和室が二間続いていて、真ん中の襖というか引き戸というか、ペラペラの仕切りがあって。その襖にドロップキックする人とか、障子を手当たり次第手刀で突いてる人とか、おもいおもいに壊し始めてめちゃめちゃ楽しくて。
カマクラ:楽しそう。
春田:私もこれ壊せるかな、って柱殴ってみたり。
カマクラ:みんな周りは男の子ですか?女の子は春田さんだけ?
春田:その旧ホッタ邸の件に関しては私だけですね。で、天井裏とかあがったりして、ボコボコにしてやろうぜ!みたいな。キャッキャいってすごい遊びまわってたら、ホッタ君の家の人が様子見に来ちゃって。それですぐバレて、すごい怒られるっていう。
カマクラ:ははは、怒られたのは全員ですか?
春田:まず、張本人ですね。ホッタ君自身が家の人に連行されちゃって。すばやい子はいつのまにかいなくて、逃げるタイミングのがす子はおこられて。これ俺たち良くないことしちゃったってショボンとして、なんとなくその・・・散るっていう。
カマクラ:え〜!
春田:なんとなく、みんな帰りました。わずか30分ぐらいで凄い楽しさと罪悪感、最後無言で解散、もうなんとも言えない気持ち。面白いっていうか、限界を知らないかんじというか・・・話したかったです。なぜかわからないですけども。エクストリームの言葉の意味ちゃんと調べたほうがいいような。
カマクラ:いや、春田さんの思ってるやつでいいと思います。
春田:どんくらい高い塀から飛び降りれるかとか、そういう感じ。やってました?
カマクラ:やってました、やってました。
春田:女の子の友達もできて、そっと遊んでみたりするんですけど、全く別な遊びなんですよ。どっちかっていうと、当時の私には男の子の遊びのほうが発見が多くて面白かった。絵とか漫画とか描いて、男の子にウケたっていうので、男子遊びに混ざっても女だからといって排斥されなかったのがありがたかった。まあなんとなく、居ていいよっていう緩い感じ。後ろのほうになんとなくいる。
3. 小学校
カマクラ:漫画を描いて見せていたんですよね。どういう漫画ですか?
春田:何年生かもうわかんないんですけど、4年生か5年生だったかな。ササキ君って男の子が漫画を描いてて。ササキ君は・・・ヨッシマンって呼ばれてたんですけど、ヨッシマンの漫画は面白いってなってて。
カマクラ:流行ってたんですね。
春田:クラスで好評連載中だったんです。私もヨッシマンの漫画を読ませてもらって、それにインスパイアされた漫画を自分も描き始めて。それを、クラスで誰かが漫画を描いたら読みたい人たちがいるから、見せてみたら、以外とウケたっていう感じ。
カマクラ:なるほど。
春田:オリジナルキャラクター作ったりとかはせずに。まずササキ君の漫画がクラスメイトが出てきて大暴れするみたいなので、あ〜おもしろいって思って。漫画の中だったら人殺していいんだ、みたいな。女の子達の集まりでは浮いていたんですが、友達になってくれた女の子がいて、その子と自分をキャラ化して、あとはクラスの男子とか、読んだ漫画のキャラクターとかがいっぱい出てくる漫画でした。ハイスクール奇面組とか好きだったんで、普通に奇面組の人が出てきてみんなで一緒にサッカーやったり殺人事件解決したりとか。
カマクラ:へ〜。
春田:思いついたことなんでも描いてました。人が熱唱してて間奏に入ったときに人間の分子がバラバラに崩壊してアメーバみたいになってでもサビで復活するギャグとか、ギャグ漫画。弟も出して弟にも読ませたり。しばらく描いてなかったら続きは?とか言われて嬉しくて、ホントにめっちゃ描いてたんですよ。毎日描いてた。基本学習ノートしか買ってもらえないんですけど、もう学習ノートに描けばいいんだと思って、漢字練習帳とか青い線入っちゃってますけど、ベース白いんで。そういうものをどんどん消費して描きまくってました。
カマクラ:楽しいですね。
春田:ノートを積み上げるとかなりの高さになる。描いては友達に見せ、めちゃくちゃ笑ってくれる、ツボの浅い子とかプルプルしてるのとか見るのがホントに嬉しくて。なんかよくわからないけど、すごい楽しいって。描いてる最中も面白いんですけど、人が見てくれた時に反応があるんで、それでかなりハマっていました。
カマクラ:小学校4年生くらいですね。
春田:そう、4年~6年の間。学校でもそうやってなんとか居場所があったんで。ベースは家の近所で遊んでるんですけど、でもみんな学年違ったりクラス違ったりするんで、学校行くとバラけるじゃないですか。
カマクラ:そうですね、関係なくなっちゃいますよね。
春田:そうそう、で、縄張りの外で果たして自分の居場所作れるのかっていうのは小学校通してのテーマだったと思うんですけど、なんとかかんとか。漫画でなんとかなった。
4. 絵を見る
’15/09/19 – 荻窪ベルベットサン ケモノディスクライブ第五回 入江陽 『ピアノ弾き語りライブ〜誕生日のワガママ〜』のフライヤー用の絵。
※絵を見せていただきながらのお話です。
春田:なんか絵を描いたあとに、コピーとるの好きで。コピーとると、整理されるというか。生々しいものが薄い一層へだてた向こう側に行くというか。
カマクラ:僕もそれやったことあります。こんな素晴らしい絵じゃないけど。
春田:全部手描きなので修正液の後とか消えなかった鉛筆の線とか痕跡を残しつつ、出来上がったもの見ると、たまに怖いなこれ〜とか思ったり。以外と、印刷するとスッキリするので、怖めでもいいんじゃないかとか、研究中ですね。この絵の場合は1.5倍くらいに拡大したやつのほうが安心して見れました。
カマクラ:ふ〜ん・・・。安心して見れるってどういうことですか?
春田:個人的なものから遠のいた感じというか。拡大して紙に収まらなくて絵が切れた状態とか。なんて言えばいいのか。その辺ちょっと上手く言えないです。
カマクラ:絵によって、タッチとか全然違いますよね。
春田:固定できないんですよ。これはこれが正解だからこれ、みたいな感じで。振り分けて描くので、だからどんな絵を描いてるんですか?とかどんな漫画ですか?って言われると、ものすごい困るんです。全然説明できない。
西條奈加『刑罰0号』最新回挿絵。(「読楽」2015年10月号掲載/徳間書店)
カマクラ:やばいなこれ。
春田:よかったよかった。連載小説の挿絵です。小説の世界の絵。これは、自分の力ではないというか、こんなに普段描けないので。ヤバイのできたなってこれはちょっと思いました。
カマクラ:これはショックが大きいです。
春田:今まで蓄積してきたものがいい形で出たなと思ったんです。奇跡的に。仕事の絵でちゃんとだせたんでよかったと。
カマクラ:素晴らしいですね。
春田:よかった!って嬉しいんですけど、そうなってていいのかな?と思います。奇跡の産物で。絵の学校行ってないから、どこかでたらめですけど、なんかできた!とかで。
カマクラ:我流ですね。
春田:超我流です。
カマクラ:我流でここまでできるんだ。
春田:できるできる。でも、トレーニング積んでないぶん整合性とれてる感じにするのに時間めちゃくちゃかかりました。描くのものすごく遅いんですよ。
カマクラ:これは何ですか?
春田:これは週刊文春に大谷能生さんの記事が載ってたんですよ。それの模写。
カマクラ:え〜!記事の模写ですか?
春田:そう。全部一緒。ホント意味わかんないんですけどこういうことしちゃうんですよ。
カマクラ:やばいな〜これ。
春田:読めるでしょ。ちゃんと内容が。
カマクラ:”気鋭の批評家であり、近くニュー・アルバム『JAZZ ABSTRACTIONS』をリリースするなど”・・・。普通に記事だし。でも、絵ですね。こうなると文字も絵だし。
春田:子供の時とかも、単行本の表紙とかそのまま模写したりとかしてて。これいいなと思ったら模写するみたいな。原本とできた模写を並べて見比べて面白がったり、なんかそういう。遊びの一種です。
カマクラ:こういうのすごく共感します。面白い。ページ数も書いてあるし。しかもこの、下の広告まで・・・。
春田:健康チェックってところを模写しながら、私、頭大丈夫かな?とか思ったりして・・・そこで止めたっていう。
カマクラ:ははは・・・。
春田:笑ってもらえてありがたいです。これ系なかなか人にみてもらえる機会ないので。こういうものペロッとホームページに載せる意味あるのか私まだよく理解できてなくて、twitterだと流れて消えてっちゃうから、今ブログはじめて、意味あるものと並べてなんとなく見比べたりして。
カマクラ:普通は目的わからないですからね、模写する意味とか。なんで?ってやっぱり思うから。
春田:単純に暇だったからやった。
カマクラ:そうなんですよね。
春田:そうそう、なんか病的な何かってのは特になくて・・・あるんですかね?
カマクラ:いや、たぶん病的な何かとかはないと思います。
春田:救われる一言だ!
ドキュメンタリー・ライヴハウスact.6 新春Special『ジョン・ケージメモリアルB.B.Q』
春田:ロゴだけです。ディレクションが吉田アミさんで、「あのジョン・ケージだ!とかビビらずアッホみたいなロゴ描いてください!」って感じで笑かされて、3分ぐらいで描きました。どうなるのか全然わかんなかったんですけども、吉田さんとデザイナーの竹田さんのセンスがすばらしくて、出来上がり見てこういうのがプロか!と感動して。ロゴだけ見るとふざけてる落書きですね。キレのいい感覚で素早くすくいとって上手に生かしてもらえて、ちゃんとした仕事の一部になって。一人でできることじゃないですね。勉強になったし、これすごく嬉しかったです。
大谷能生7DAYS@荻窪ベルベットサンのDM
春田:2012年に上京して、はじめて使ってもらえた絵がこれです。7日間で21公演もあって、出演者の方めちゃくちゃたくさん。どうしようかと思って。生きてる人は興味を持って出向けば会えるので、今会えない人を描こうってして、朝の講義でテーマとして取り上げられる昔の作曲家の人達にして。あと、本業で一筋とおっている方々がカレー職人として日替わりで呼ばれてたんですよ。ステージでなくキッチンの方に。カレー7個描きたかったんですけど構成できなくて、大谷さんに配膳されるであろう1個にしたらおさまって。できた!と思って。ビジュアルもう一種類、店長が作った大谷さんの写真をコラージュして7人いるのがあって、ポップですごいカワイイんですよ。あれが陽でこっちが陰でやってることが逆で。大谷さんが主役なのにシルエットで描いて死者と物に焦点あてて、いいのか?と進めながら悩みまくってたので。あれがあってすごく安心できました。
春田:絵の話は物がないとできないのでばばっと持ってきました。原画なかったり、なくしたり。こういう落書きとか使い終わったやつとか。どれか一つをとって、ああ、こういうのを描くんですねと言われると、そうなんですけどそういうわけじゃないというか。
カマクラ:いろんなタッチで描けるとまた苦労がありそうですね。
春田:描けるというか調節きかないんです。仕事、相手が欲しいものとどうやって摺り合せるかっていうのがあると仕事もらうようになってからわかって。描けるもの全部であたるしかない感じです。今は、あまり考えすぎず、えいってやるようにして。あと、自分さえよければって描き散らさず、冷静に描けたら、もう少しコクのあるものになるかもなとか。二十代半ばから上京直前まで絵をほぼ描けなくなってたので、経験値の低さに苦労してます。苦労の経験からいうと苦労じゃないか。うまくなりたい。
5. 青春
春田:今は楽しいです。さっき言ってたキャッキャ遊んでる感じと、全く同時にものすごく辛かったんで、大人になるまで生きれる気がしない、どうしようみたいな。今天国。
カマクラ:ふ〜ん・・・。
春田:キチガイな部分を、癒すために絵とか漫画とか描いてる部分、いやですけどあるなと。いやでも事実ですけどいやですけど。
カマクラ:うんうん、でもそういうところ、たくさんの人にあるんじゃないですかね?音楽で癒すとか。
春田:ありますね。音楽好きですし、漫画もアニメもそうだし。誰かが作ったものに癒されたり力をもらってます。音楽つくれないから、ミュージシャンの人達に憧れもあるし。みんなを楽しくする人達。みんな尊敬してます。
カマクラ:いいですね。
春田:ただ、尊敬してるだけだと情けなくなったり。
カマクラ:そんなこと思わなくていいんじゃないですか・・・(笑)。
春田:これ、インタビューというかカウンセリングですよね。無意識ダダ漏れでごめんなさい。(笑)
春田幸江 ( 絵 / 漫画 )
大 阪 府 出 身
愛 知 県 育 ち
東 京 都 在 住